低血糖症の症状を出さないためには、血糖値を急上昇させないことが必要です。
そのためにできる事は、食材の選別、食べる順番、適切な間食(長時間空腹状態を作らない)などなどいろいろありますが、一番効果が高いのはゆっくりよく噛んで食べることです。
実際、低血糖対策にいろいろなことを試してみましたが、「ゆっくりよく噛んで食べる」に勝る血糖値上昇の予防はありませんでした。
そして、毎日の食事をゆっくりゆっくり摂るようにしていくと、体調が安定していくとともに、ふとあることに気がつきました。
昔から、あらゆる場面で早食いを強要されてきたことです。
といっても競技的なものではなく、日常的な食事の場における「早く食え」という、無言のあるいはあからさまなプレッシャーのことです。
日本ではあらゆる場面で早食いが良いこととされ、食べるのが遅い者へのプレッシャーが常に存在します。
家庭では洗い物が終わらないからさっさと食べろと急かされ、学校では食べるのが遅いものはからかわれ、食事会や打ち上げなどでは、みんなのペースに合わせられないと白い目で見られ、ときには人格まで疑われます。
ビジネスマンなら、食事をできるだけ早く済ませて会社に戻ることが「仕事ができる人間」だ評価される風潮があるはずです(早食いすれば誰でも血糖値が乱れて午後の仕事に影響するはずなんですが)。
日本にいて健全な社会生活を送っている人ほど、自分のペースでゆっくりゆっくり食べられる機会は少ないでしょう。
さて、普通の人はそれでも特に問題は無いはずです(ダメージは蓄積していくと思われますが、5年や10年程度では何の変化も起こらないでしょう)。
ただ、低血糖症の人間には死活問題といえます。
無言のプレッシャーから早食い(自分のペースより早いという意味)を強要されると、当然血糖値は急上昇し、その後急下降して低血糖症の症状が発症します。
毎日がそれだと、本当に365日朝から晩までずっとしんどい思いをしなければなりません(以前の僕がそうでした)。
しかし、ゆっくりよく噛んで食べるだけで、血糖値の急上昇をかなり抑えることができます。
さらに、食べる順番と食材を自由に選ぶことができれば、食事による血糖値の上下は一般人並みに抑えることが可能です。
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そういったことを考えていてまたふと思い出したのは、海外にいた時は低血糖症の症状はそれほど出ていなかったということです。
アメリカやヨーロッパでは、「早く食え」という無言のプレッシャーはありません。
アメリカは比較的早食いの国だと思いますが、さっさと食い終わった人は「Enjoy your meal!」とか言って勝手にどっかに行ったりはしますが、『待ってやってんだから早く食い終われ』といった無言のプレッシャーや、食べるのが遅い人へのからかいなどは、僕が知っている限りありませんでした。
ラテン系の国なら、日本人より早く食事を済ませる人はまずいないでしょう。
そんな食習慣の国に住んでいると、早食いによる血糖値の急上昇(そして後々急下降)が起こりづらいというのも頷けます。
それにしても、改めて思うにこの「早食い」と言うクソみたいな食習慣、食文化って一体何なんでしょう?
もちろん、「ゆっくりよく噛んで食べなさい」という教えもありますが、一方で「早飯早グソ芸のうち」といった言葉もあります(今の人は聞いたことないでしょうが)。
多分たどっていくと、早食いは江戸の町人文化ではないかと思います。
いずれにせよ、この早食いのプレッシャーのおかげで、僕は小さい頃から相当苦しめられてきました。
特に小学校低学年ぐらいまでは食べるのがかなり遅かったのですが、今考えればそれは血糖値を上昇させないための自己防衛本能が働いていたのでしょう。
しかし、食べるのが遅いとからかわれたり馬鹿にされたり怒られたりするので、いつからか早食い(といっても周りに合わせるレベルで)をするようになりました。
その結果、血糖値は常に乱れ、慢性的な疲労、体温の低下、集中力の低下、その他さまざまな症状を引き起こしてきました。
さらにそれを「自己責任」「弱い」などと言われる悪循環…
まぁ、過去の事は別にもういいです。
大事なのはこれから先です。
僕は残りの人生で一回たりとも早食いはしたくないし、強要されたくもないです。
また、当然そういった可能性のある場にはもう行かないでおこうと決めています。
昔は飲み会や打ち上げなども大好きでしたが、今後は自分の体質を最低限理解してくれる人とのみ付き合っていこうと思っています。
最後に、日本の食文化は世界に誇る価値のあるものだそうですが、早食いの強要やプレッシャーが存在している限り、僕には誇れる文化だとは思えません。
もちろん素晴らしいものもたくさんありますが。
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